2014年05月16日

「子羊が売られた日−オークション」

 一月ほど前の晩遅く、一番下の高校1年生の娘が、パソコンに向かって仕事している私の元へやって来ました。そして次のように言いました。

「お父さん、英語の宿題があるんだけど助けてくれない?」
 私は彼女の方を振り返り、「どれ、見せてごらん」と言いながら渡された1枚の紙に目をやりました。

 タイトルは「The Auction」と銘打たれてあります。娘は、「一通り読んだのだけど、確認するためにお父さんに訳してもらいたいの」とお願いしてきました。

 急ぎの仕事に取り組んでいた私は、娘にその旨を伝え、ボイスレコーダーを回しながら、一文一文を逐語訳して録音してもいいか確認し、そして始めました。

 しばらく翻訳を続けていましたが、途中から感動で胸が詰まり、涙が溢れてきました。声が震え、詰まり、そして翻訳ができなくなってしまいました。

 涙をぬぐっている私に気づいた娘は、「あ〜〜!お父さんまた泣いている〜!」と微笑みながら揶揄し、「お父さん本当に泣き虫だからね〜!」と追い打ちをかけました。

「いや〜、本当に感動した!……お前、お父さんを泣かせるために翻訳お願いしたんじゃないの?」と一言返しましたが、ばつの悪さと感動と娘の「してやったり」との思惑が交錯し、結局、真夜中に娘と二人で腹を抱えて大笑いしました。

 さて、その文章のおおよその内容は以下の通りです。みんなも読んで、感動して、泣いて下さい。

「オークション」
「ケイティ−・フィッシャーは興奮していました。7月15日は、動物オークションの日です。「今日は私の子羊を必ず売るわよ!」と彼女は心の中で思いました。17歳のケイティーは、オハイオ州マディソン郡にある農場で暮らしています。その日、郡内の農場の子供たちが、会場に自分の最高の動物たちを連れて来ていました。子供たちは連れてきた動物を最も高い値段をつけた農場経営者に売るのです。「私の子羊に良い値段がつくといいな」と、ケイティーは思いました。

 その日の午後、ケイティーは自分の子羊と一緒に会場の中央に歩いて行きました。人々が彼女を見た時、皆が驚きました。彼女には髪の毛がなかったのです。化学療法によってすべて抜け落ちてしまっていました。癌を患っていたのです。その治療が功を奏し癌の進行を食い止めたおかげで、ケイティーの病状はかなりよくなっていました。しかしながら、彼女の両親は多額の治療費を支払わなければなりませんでした。ケイティーは自分の子羊を売って、その治療費のいくらかを支払いたいと思っていたのです。

 競売人はケイティーについて少し紹介しようと決めました。「こちらの若いお嬢さんは癌の治療費を支払うためにお金が必要なのです」と競売人は言いました。「彼女の子羊に是非良い値段をつけてあげましょう。」それから、競売人はオークションを始めました。

「この子羊1ポンドに誰が1ドルつけて下さいますか?」彼は始めました。
「1ドル!!」一人の農場経営者が言いました。
「1ドル来ました!」競売人は言いました。
「さぁ、1ポンドに2ドルつけるのは誰でしょうか?」
ひとりの農場経営者が言いました。「2ドル!!」
競売人は続けて「2ドル出ました! さあ3ドルの方はいませんか?」と言いました。

 競売人は引き続き羊の価格を上げようとしました。その場にいた農場経営者たちはそれに呼応して価格を上げ続けました。そしてついにケイティーの子羊は1ポンド12ドルにまでなったのです。

 ケイティーは本当に喜びました。子羊の通常の価格は1ポンド2ドルがいいところなのですが、彼女の子羊は1ポンド12ドルで売れたのです。彼女はその売れた子羊を競り落とした農場経営者に持っていきました。その人はケイティーにお金を支払った後、驚くようなことを言いました。「子羊はとっておいていいよ。またオークションにかけなさい。」

 ケイティーは、驚きと喜びに包まれながら、子羊を連れて再びオークション会場の中央に戻って行きました。競売人は微笑みながら、「さ〜て、この子羊をもう一度売らなきゃならないね」と言いました。2人目の農場経営者は、1ポンド8ドルで買ってくれました。

 競売人がこの子羊を2度目に売った時に、またもや驚くべきことが起きました。会場にいた農場経営者やその家族たちは「もう一度! もう一度!」と言って叫び出したのです。ケイティーが子羊を競り落とした2人目の農場経営者に持って行った時、彼は支払いながら、「みんなが言ってることを聞いてるでしょ。子羊を持って行ってもう一度売りなさい」と笑顔で言いました。

 ケイティーは、子羊を連れてオークション会場の中央にまた戻って行きました。会場はさらに湧き出しました。そして競売人はケイティーの子羊を繰り返し何度も何度も売ったのです。そして競り落とされるたびに、会場は「もう一度! もう一度!」と騒ぎ立てました。

 その日の午後、オハイオ州マディソン郡のオークションにおいて、ケイティーは同じ子羊を36回も売ることになりました。36人の競り落とした農場経営者は、全員ケイティーにお金を支払いましたが、誰一人として子羊を受け取りませんでした。結局ケイティーは16,000ドルを手にして家路につきました。そのお金は彼女のすべての医療費を支払うには十分な金額でした。そしてさらに彼女は自らの子羊も連れて帰ったのです。」■(「The Auction」)

 主は次のように語りました。
「すると、王は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』。」(マタイ25章40節)

 モルモン書の中のベニヤミン王も次のように語っています。
「そして見よ、わたしがこれらのことを語るのは、あなたがたに知恵を得させるためである。すなわち、あなたがたが同胞のために務めるのは、とりもなおさず、あなたがたの神のために務めるのであるということを悟らせるためである。」(モーサヤ書2章17節)

 助けや励まし、慰めや支えを必要としている隣り人に手を差し伸べることは、すなわち主に仕えることになると教えています。暗く厳しい今のこの世の中、でもケイティーに温かい助けの手を差し伸べた農場経営者たちのような人々がいる限り、この世から希望がなくなることはありません。

 真の救いは、「神について」あるいは「福音について」どれだけ沢山の知識を持っているか、あるいはどれだけ沢山の良い行いをしたかではなく、(もちろんそうであることはとても大切ですが……)それを通して真に「神を知り」、自らがいかなる人物に「なっている」か、いかに高潔な人格を築き、主に似た者に「なっている」か、それによって決まるのではないかと感じています。未熟な凡人の私にとって、雲の上の宝を掴むような思いもしますが、あの心優しい人々のような生きた模範がある限り、希望がなくなることはありません。

 私たちが、神を愛し、真理に基づいた神の教えを愛し、その御心を行うために喜んで犠牲を払い努め励む限り、神がケイティーに注がれたような驚くほどの計り知れない「神の憐れみ」を私たちも頂き、永遠の生命に至ることができるようになれるという希望もなくなることはないのです。

posted by HappyLifeRealize at 02:14| 福岡 ☁| 慈愛 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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